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ゼンハイザー MOMENTUM True Wireless 5 のクリーム色のイヤホン(プレスリリースの製品画像)に、見出し「音の余白まで、聴こえる。」を添えた表紙(デザイン:LUQ編集部)

製品画像:Sonova Consumer Hearing Japan株式会社
(PR TIMES掲載のプレスリリース)/デザイン:LUQ編集部

イヤホンの「最高」は、ひとつではない。最も静かなもの。最も便利なもの。そして、音楽をもう一度聴き直したくなるもの。ゼンハイザーの新しいMOMENTUM True Wireless 5は、5万円近い価格で何を選ばせるのか。音質、ノイズキャンセリング、電池、4つの競合機との違いから、その価値を考える。

5万円のイヤホンは、何を変えるのか

店頭想定価格は49,940円(税込)。2026年9月3日に日本で発売されたMOMENTUM True Wireless 5は、ゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホンにおける新しいフラッグシップだ。

毎日の移動で使う小さなイヤホンに、ほぼ5万円。安くはない。

ただ、価格だけを見て「高級」と呼ぶと、このモデルの面白さを取り逃がす。新しくなったのは、音を出す部品の数でも、派手な装飾でもない。直径7mmのTrueResponseダイナミックドライバーを1基ずつ使い、その周囲に音の調整、空間オーディオ、ノイズ低減、通話、そして長く使うための設計を積み重ねている。

対応コーデックはSBC、AAC、aptX、aptX Adaptive、aptX Lossless。Bluetooth 6.0と2台のマルチポイント接続、Dolby Atmosとヘッドトラッキング、8バンドEQ、好みに合わせるサウンドパーソナライゼーションも備える。

仕様表だけなら、いまの高級イヤホンには似た言葉が並ぶ。

それでもMOMENTUM True Wireless 5を選ぶ理由はあるのか。答えを先に言えば、ある。ただし「何でも一番だから」ではない。

このイヤホンが強いのは、音楽の細部と空間を楽しむこと。そして、電池が弱った時に製品ごと諦めなくていいことだ。

7mm一発で、音の奥行きを描く

音の傾向は、低音を膨らませて迫力だけを押し出す方向ではない。

ゼンハイザーは前世代から中域の押し出し感をわずかに抑え、低域をよりクリーンに締め、12kHz以上の帯域を持ち上げることで、高域の抜け感と広がりを狙ったと説明している。

複数の海外レビューを横断すると、共通して挙がるのは「広さ」「細部」「精密さ」だ。『Tom’s Guide』は、AirPods Pro 3より豊かで、Sony WF-1000XM6より温かく、Bose QuietComfort Ultra Earbuds(第2世代)より細部が見える音として評価した。『What Hi-Fi?』も、空間の広さ、ディテール、正確さを高く評価し、音・造り・機能のすべてに満点を付けている。

この評価を、単純な勝敗にしてはいけない。

SoundGuysの測定と比較では、標準設定のSony WF-1000XM6のほうがチューニングの完成度が高く扱いやすい一方、MOMENTUM True Wireless 5は6kHz付近の出力が多く、曲によっては「s」「sh」のような音が鋭く感じられると指摘された。気になる場合は、Smart Control PlusのEQで6kHz帯を下げると和らぐという。

つまり、箱から出して誰にでも同じように心地よい音を目指した製品ではない。

音場の奥行き、声の息づかい、弦が消えていく余韻。そうした部分に耳を向け、必要なら自分で少し整える。その手間まで楽しめる人に、MOMENTUM True Wireless 5は応える。

なお、aptX Lossless(16bit/44.1kHz)やaptX Adaptiveの96kHz/24bit伝送を生かすには、送信側のスマートフォンなども対応している必要がある。iPhoneとのBluetooth接続はAACになるため、iPhoneで使えないわけではないが、aptX系の利点は得られない。

ノイキャンは強い。でも、最強ではない

MOMENTUM True Wireless 5は、新しいハイブリッド・アダプティブANCを搭載する。周囲の環境を分析し、ノイズ低減を自動調整する仕組みだ。イヤーチップも柔らかな新設計のシリコン製になり、耳を物理的にふさぐ効果と電子的な処理を組み合わせている。

日常で不足する性能ではない。

独立レビューを見ると、通勤や仕事で音楽へ戻るための静けさは十分につくれる一方、Tom’s Guideは低いエンジン音やクラクションが聞こえたと指摘し、最も強い静けさならBose QuietComfort Ultra Earbuds(第2世代)を挙げている。SoundGuysの比較でも、Sony WF-1000XM6のほうが多くのノイズを減らした(聴感上の差は小さいとしている)。

ここは正直に分けたい。

  • 音楽の細部を優先するなら、MOMENTUM True Wireless 5。
  • とにかく静けさを優先するなら、Bose。
  • 音、ANC、通話、電池の総合力なら、Sony。

外音取り込みは遅延が少なく自然さを目指したものだが、自分の声や近くの声の聞こえ方には改善の余地があるという評価もある。

一方、通話用には骨伝導ボイスセンサーを含む左右合計8基のマイクと、AIによる音声分離を使う。騒音の中で話す人の声を拾う仕組みは充実している。

レビュー間で評価には幅があり、明瞭とする評価がある一方、風や反響のある場所では雑音を抑えきれない、騒がしい通りでは声がややこもるという指摘もある。仕事の重要な通話に使うなら、自分のスマートフォンと普段の場所で一度試しておきたい。

5機種を比べると、選ぶ理由が見えてくる

高級完全ワイヤレスの代表的な5機種を、公式仕様と独立レビューの傾向から整理した。音質とANCの欄は絶対的な順位ではなく、複数のレビューを横断した選び方の目安である。

製品公式掲載価格音の傾向ANCの傾向ANCオン時の単体再生いちばん強い理由
Sennheiser MOMENTUM True Wireless 549,940円広く、細かく、豊か。高域が鋭く感じる曲もある強いが最上位ではない最大6時間音の空間表現、細かな調整、ユーザー交換式電池
Sony WF-1000XM639,600円自然で表情豊か。標準設定の完成度が高いトップクラス最大8時間音・ANC・通話・機能の総合力
Bose QuietComfort Ultra Earbuds(第2世代)39,600円(発売時)厚みと躍動感。細部はMTW5に一歩譲る5機種中で最有力最大6時間騒音から距離を置く静けさ
Apple AirPods Pro 342,800円バランスがよく、空間オーディオも自然トップクラス最大8時間iPhoneとの連携、外音取り込み、通話、健康機能
Technics EAH-AZ10039,600円明瞭で開放的。音場が広く、低域にも力がある強力。トップ級に迫る約10時間(AAC)長時間再生、3台マルチポイント、機能の密度

価格は2026年9月26日時点の各社公式ストアの掲載価格(税込)。セール価格は入れていない。Boseは発売時の税込価格で、同日のボーズ公式ストアの表示は特別価格33,660円。再生時間は各社の測定条件が異なるため、同じ試験結果としての単純比較はできない。

独立した同条件のテストでは、SoundGuysがMOMENTUM True Wireless 5を6時間17分、Sony WF-1000XM6を9時間41分と測定した。公称値の読み方としても、MOMENTUM True Wireless 5の「最大12時間」はANCオフ時であり、ANCオン時は最大6時間だ。

結論は、ひとつに絞れる。

最も無難な総合選択はSony。静けさを買うならBose。iPhoneでの体験を崩したくないならAirPods。長時間と3台接続ならTechnics。

そのどれよりも「音楽をどう聴かせるか」と「何年使うか」に心が動くなら、MOMENTUM True Wireless 5である。

電池を替えて、使い続けられる

完全ワイヤレスイヤホンの寿命は、音が古くなるより先に、電池が短くなることで訪れやすい。

小さな本体とケースに充電を繰り返し、数年後には朝から夜まで持たなくなる。音も装着感も気に入っているのに、製品全体を買い替える。その構造は、高価なイヤホンほど納得しにくい。

MOMENTUM True Wireless 5は、左右のイヤホンと充電ケースの電池を、標準的な工具でユーザー自身が交換できる。箱にはバッテリー交換用ツールも入る(ねじを外すドライバーは別途必要)。ゼンハイザーの完全ワイヤレスでは初めての設計だ。

交換用電池の国内での入手方法、価格、供給期間は、実際に交換する時点で公式情報を確認する必要がある。9月26日時点では、日本の公式ストアに交換用電池は掲載されていない。それでも「電池が弱れば終わり」ではない設計思想は、他の4機種にはない大きな価値になる。

5万円という価格は、購入日の機能だけで判断すると重い。

しかし、気に入った音を長く使える可能性まで含めると、見え方が変わる。新しい機能を追うためではなく、同じ道具を使い続けるために部品を替える。

これは派手ではないが、日常の道具として筋の通った贅沢だ。

買う前に知りたい、4つの弱点

魅力を理解したうえで、購入前に確かめたい点がある。

1.ANCオンでは、単体最大6時間

「最大12時間」だけを見ると長く感じるが、それはANCオフ時。長距離移動でANCを使い続けるなら、SonyやTechnicsのほうが余裕がある。

2.耳が小さい人には、本体が大きく感じられる可能性

前世代より快適性を高めた設計だが、海外レビューでは小さな耳に合わず、短時間で痛みを感じた例もある。音質より先に、装着できるかを店頭で確かめたい。

3.高域が刺さる曲がある

広さと細部を生む高域の表現は長所だが、録音や聴く人によっては子音やシンバルが鋭い。EQで調整できるものの、何も触らず自然に聴きたい人にはSonyのほうが合わせやすい。

4.送信側によって、使える音質機能が変わる

LDACには対応せず、aptX Lossless/Adaptiveを生かすには対応するAndroid端末などが必要。iPhoneではAAC接続になる。買う前に、自分の端末がどのコーデックを使えるかを確認したい。

この原稿はLUQによる実機試聴ではない。公式仕様と複数の独立レビューをもとに、違いを整理したものだ。

向いているのは、音の細部を聴く人、自分でEQを整えられる人、ひとつの製品を長く使いたい人。

最強のノイキャンだけを求める人、何も設定せず総合点を取りたい人、耳が小さく装着感に敏感な人は、ほかの候補も一緒に試したほうがいい。

LUQの見方:良い音を、消耗品にしない

ワイヤレスイヤホンは、毎年少しずつ進化する。

ノイズキャンセリングが強くなり、通話が明瞭になり、アプリの機能が増える。その競争は便利だ。けれど、良い道具を選ぶ楽しみが、次の新製品を待つことだけになってしまうのは惜しい。

MOMENTUM True Wireless 5は、すべての比較で一位ではない。

静けさではBoseが強い。標準状態の自然さと総合力ではSonyが手堅い。iPhoneではAirPodsが滑らかだ。Technicsは長く再生できる。

それでもこのイヤホンには、選ぶ理由が残る。

音楽の奥にある小さな響きを拾い、自分の耳に合わせ、電池が弱れば交換する。新しいものへ急いで乗り換えるのではなく、気に入った音と付き合うための構造がある。

LUQが考える5万円の価値は、機能の数ではない。

いつもの一曲を、もう一度最初から聴きたくなること。そして数年後にも、その続きを聴ける可能性があることだ。

文:LUQ編集部

2026年9月26日時点の公式情報と独立レビューをもとに構成。LUQによる実機試聴記事ではありません。価格、仕様、対応機能は変更される場合があります。

出典・関連リンク

ゼンハイザー公式/MOMENTUM True Wireless 5
https://jp.sennheiser-hearing.com/ja/products/momentum-true-wireless-5

Sonova Consumer Hearing Japan/国内発表資料
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000168099.html

ゼンハイザー公式/取扱説明書(日本語PDF)
https://cdn.sennheiser-hearing.com/product-documents/product-downloads/momentum-true-wireless-5/instruction-manual/translations/MTW5_Manual_JA.pdf

Sennheiser Newsroom/グローバル発表
https://newsroom.sennheiser.com/introducing-sennheiser-momentum-true-wireless-5-the-flagship-momentum-experience-in-your-pocket

Tom’s Guide/実機レビュー
https://www.tomsguide.com/sennheiser-momentum-5-true-wireless-review

What Hi-Fi?/実機レビュー
https://www.whathifi.com/headphones/wireless-earbuds/sennheiser-momentum-true-wireless-5

SoundGuys/実機レビュー・測定
https://www.soundguys.com/sennheiser-momentum-true-wireless-5-review-161261/

SoundGuys/Sony WF-1000XM6との直接比較
https://www.soundguys.com/sennheiser-momentum-true-wireless-5-vs-sony-wf-1000xm6-162769/

What Hi-Fi?/AirPods Pro 3 実機レビュー
https://www.whathifi.com/headphones/apple-airpods-pro-3

AV Watch/AirPods Pro 3 レビュー
https://av.watch.impress.co.jp/docs/series/rt/2047359.html

What Hi-Fi?/Technics EAH-AZ100 実機レビュー
https://www.whathifi.com/reviews/technics-eah-az100

Sony公式/WF-1000XM6
https://www.sony.jp/headphone/products/WF-1000XM6/

Bose公式/QuietComfort Ultra Earbuds(第2世代)
https://www.bose.co.jp/pressroom/bose-announces-the-quietcomfort-ultra-earbuds-2nd-gen

Apple公式/AirPods Pro 3
https://www.apple.com/jp/airpods-pro/

Technics公式/EAH-AZ100
https://jp.technics.com/products/tws/az100/spec.html