端正な時計を選ぶ楽しみがあるなら、見た瞬間に笑みがこぼれる時計を選ぶ楽しみがあってもいい。今回のウブロは、まさに後者だ。
2026年9月に発表された「クラシック・フュージョン バルーン ドッグ by ジェフ・クーンズ」。文字盤に作品の絵を載せるのではなく、時計そのものの形を、風船のような丸みへ変えている。[1]

画像:ウブロ/PR TIMES掲載リリース
金属なのに、風船のように見える
最初に目が止まるのは、ケースと文字盤のふっくらとした輪郭だ。ベゼルのまわりも、時刻を示す目盛りも、硬い金属のはずなのに空気を含んだように見える。もちろん、実際に空気を入れてふくらませる時計ではない。
発表資料によると、ケースや文字盤だけでなく、サファイアクリスタルやビスの頭まで、この丸みを前提に作り直したという。見慣れた時計の部品を一つずつ変えることで、全体の表情をそろえている。[1]
写真では、光の当たる場所が白く浮かび、隣の面が深く沈む。色を派手にしただけでは出ない、この陰影が面白い。立体の輪郭を見る時計、と言いたくなる。
ジェフ・クーンズの作品が、手元へ
発想の中心にあるのは、ジェフ・クーンズの彫刻「Balloon Dog」。細長い風船をねじって作る犬を思わせる姿だが、作品に使われているのは鏡面仕上げのステンレススチール。柔らかそうな形と、硬い素材の取り合わせが印象に残る。作家の公式サイトでは、1994〜2000年の作品として紹介されている。[6]
今回の時計も、その取り合わせを小さなサイズで楽しませる。子どもの頃に見た風船の親しみやすさと、磨かれた金属の緊張感。その二つが同時にあるから、単にかわいいだけでは終わらない。
作品の予備知識がなくても、まず形を好きになることから入れる。そこから作者や彫刻を知っていく、という順番でもいい。時計が、アートに近づくきっかけになる。
赤・青・銀。色だけでなく素材も違う
レッドとブルーのケースは、色を付けるアルマイト加工を施したアルミニウム。シルバーはステンレススチールだ。同じ形でも、3本すべてが同じ素材ではない。さらにストラップは、赤と青がレザーとラバー、銀はポリマー素材とラバーの組み合わせになる。[2][3][4]

画像:ウブロ/PR TIMES掲載リリース

画像:ウブロ/PR TIMES掲載リリース

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3色の素材を比較
| 色 | ケース素材 | ストラップの組み合わせ |
|---|---|---|
| レッド | アルマイト加工のアルミニウム | メタリックレッドのレザー+赤のラバー |
| ブルー | アルマイト加工のアルミニウム | メタリックブルーのレザー+青のラバー |
| シルバー | ステンレススチール | メタリックシルバーのポリマー+灰色のラバー |
LUQなら、形の面白さを静かに楽しむ一本としてシルバーに目が向く。一方で、腕元を着こなしの主役にしたいならレッド。白やネイビーの服に、少し冷たい光を足すイメージならブルーだろう。これは色の合わせ方としての提案で、実物を着け比べた評価ではない。
しっぽから秒針まで、遊び心を見つける
細部を見るなら、まず10時30分の位置。ケースから小さく突き出しているのは、ラバーで作られた犬のしっぽだ。さらに秒針の反対側、つり合いを取る部分には、小さなバルーン ドッグが付いている。[1][2][3][4]

画像:ウブロ/PR TIMES掲載リリース

画像:ウブロ/PR TIMES掲載リリース
時刻を読むだけなら、これほど手の込んだ形は必要ない。それでも、ふと目を落としたときに新しい表情を見つけられる。この時計が求めているのは、効率とは別の楽しさなのだと思う。
公式動画に登場する犬のアニメーションは演出です。実際の時計で、犬の飾りが動画のように独立して動く仕組みではありません。[2][3][4]
定番と比べると、何が変わった?
比べる相手は、同じ42mmの「クラシック・フュージョン オリジナル チタニウム」。同じシリーズでも、こちらはチタン製ケースと黒い文字盤を組み合わせた、すっきりした顔立ちだ。バルーン ドッグとは、素材も中の機械も異なる。[2][3][4][5]
42mmモデル同士で比較
| 項目 | バルーン ドッグ | オリジナル チタニウム |
|---|---|---|
| ケース径 | 42mm | 42mm |
| ケース素材 | 赤・青:アルミニウム/銀:ステンレススチール | チタニウム |
| 自動巻き機構 | HUB1710 | HUB1110 |
| 駆動時間の目安 | 約50時間 | 約48時間 |
| 防水性能 | 5気圧(50m表記) | 5気圧(50m表記) |
| デザインの主役 | ふくらみ、色、犬のモチーフ | 黒い文字盤と抑えた形 |
比較対象は「オリジナル チタニウム 42mm/542.NX.1270.RX.MDM」に限定しています。駆動時間はメーカー公称値。精度や装着感の優劣を示す表ではありません。
約2時間の駆動時間の差より、選ぶうえで大きいのは形の好みだろう。すっきりした時計を毎日使いたいのか。それとも、腕元を見るたび気分が変わるような一本を持ちたいのか。この2本は、その問いを分かりやすくしてくれる。

画像:ウブロ/PR TIMES掲載リリース
限定数と価格。買う前に見たいこと
3色はそれぞれ世界限定200本。確認時点のウブロ日本公式サイトでは、レッド・ブルー・シルバーはいずれも336万6,000円(税込)と案内されている。気軽な買い物ではないからこそ、数字だけでなく、光の下でどう見えるかまで確かめて選びたい。[1][2][3][7][8]
店頭で見るなら、まず文字盤の反射と時刻の読みやすさ。次に、横から見たふくらみが自分の腕にどう収まるか。そして、いつも着る服と合わせたときの色の強さ。写真にひかれた気持ちが、着けても続くかどうかが大切だ。
限定本数は、将来の値上がりを約束する数字ではない。手放すときの価格より、毎日眺めたいと思えるか。これほど個性のある時計なら、その基準を真ん中に置きたい。
価格は2026年9月27日に確認した日本公式サイトの表示。入荷状況と購入時の価格は取扱店でご確認ください。
LUQの見方
高級時計には、重みや正しさを求めたくなる。でも、このウブロが見せてくれるのは、大人になっても形や色に素直に驚いていい、という気持ちよさだ。
まじめな作りで、思いきり遊ぶ。金属を風船のように見せ、針のそばに小さな犬を置く。その手間を「時間を見る以外の楽しみ」に使っているところに、ひかれる。
予定を確認するために腕を上げたのに、少しだけ時計そのものを眺めてしまう。そんな一本がある日常も、悪くない。時間に追われる道具ではなく、時間を楽しむきっかけとして選びたい時計だ。
参考資料
[2] HUBLOT 日本公式|バルーン ドッグ レッド 42mm
[3] HUBLOT 日本公式|バルーン ドッグ ブルー 42mm
[4] HUBLOT 日本公式|バルーン ドッグ シルバー 42mm
[5] HUBLOT 日本公式|クラシック・フュージョン オリジナル チタニウム 42mm
[6] Jeff Koons|Celebration/Balloon Dog(彫刻作品)
[8] Revolution Japan|今週の時計ニュース〈9月21日版〉(3色共通の価格)
情報確認日:2026年9月27日。公式情報と配布画像をもとにした紹介記事です。実物を使用・試着したレビューではありません。
