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3,850万円の「赤い獅子」 Grand Seiko SBGD228。大理石の台と赤い背景に、グランドセイコー公式の製品画像(SBGD228)を配置した表紙(デザイン:LUQ編集部)

製品画像:グランドセイコー公式/デザイン:LUQ編集部

2026年9月26日時点の公式情報に基づく紹介記事です。LUQ編集部による実機レビューではありません。

3,850万円。

この数字を見た瞬間、多くの人は「腕時計の値段なのか」と思うだろう。

けれど、Grand Seiko SBGD228を一般的な腕時計と同じ尺度だけで見ると、その正体はつかみにくい。

18Kピンクゴールド、ダイヤモンド、ガーネット、白蝶貝。そして、熟練の職人が仕上げるスプリングドライブ。

これは時間を確認する道具であると同時に、日本の時計製造と宝飾技術を、腕に載せられる大きさへ凝縮した作品だ。

世界で8本。そのうち日本国内は6本。

グランドセイコーが「レッドライオン」と名づけた一本を、価格の驚きだけで終わらせずに見ていきたい。

3,850万円という価格は、どこから来るのか

SBGD228の税込価格は38,500,000円。

2026年10月発売予定で、世界限定8本、国内では6本が用意される。

単純に時刻を知るためなら、これほどの金額は必要ない。正確さだけを比べても、この時計の価値は説明しきれない。

価格を形づくっているのは、希少な素材の量だけではない。

宝石の選別、配置、ケースの仕上げ、ムーブメントの組み立て。それぞれに人の目と手が入り、同じものを大量に作る量産品とは別の時間が流れている。

買えるかどうかより先に、「なぜ8本しか作らない時計が存在するのか」と考える。

その問いから、このモデルの面白さが始まる。

Grand Seiko SBGD228の正面。18Kピンクゴールドのケースに、ワインレッドの白蝶貝ダイヤルとダイヤモンド・ガーネット(グランドセイコー公式画像)
画像:グランドセイコー公式

「赤い獅子」は、文字盤だけの愛称ではない

グランドセイコーは、1960年の初代モデルから獅子の紋章を掲げてきた。

最高峰の腕時計を目指す意志を、力や威厳の象徴である獅子に託している。

SBGD228のテーマは「レッドライオン」。

ワインレッドの白蝶貝文字盤に、深い赤色のガーネットが並ぶ。

大きく張り出したかん足にはダイヤモンドが留められ、獅子の研ぎ澄まされた爪を表現している。

獅子の絵をそのまま描くのではなく、色、光、ケースの形で存在を感じさせる。

説明的になりすぎないところに、日本の高級時計らしい抑制がある。

SBGD228のケースとかん足。大きく張り出したかん足にもダイヤモンドがセットされている(グランドセイコー公式画像)
画像:グランドセイコー公式

267個のダイヤモンドと、26個のガーネット

公式仕様では、使用されるダイヤモンドは267個、合計5.98カラット。

ガーネットは26個、合計0.87カラット。

ケース、ダイヤル、りゅうずにまで宝石が配置されている。

ただ多く並べればよいわけではない。

貴石の形、品質、色を確認しながら、一人の職人が文字盤へのセッティングを担う。

12時位置には3石のガーネットを使い、3時、6時、9時位置には少し幅の広い石を配置する。

華やかさの中でも、時刻を読み取れるようにするためだ。

宝飾時計でありながら、時計としての視認性を捨てない。

その設計に、グランドセイコーらしさが見える。

SBGD228のダイヤルを斜めから。ダイヤルの円弧に沿って並ぶダイヤモンドとガーネット(グランドセイコー公式画像)
画像:グランドセイコー公式

宝石の内側で、8日間動き続ける

外側の華やかさに目を奪われるが、SBGD228の核は内部にもある。

搭載するのは、長野県塩尻市の「マイクロアーティスト工房」が手がける手巻きスプリングドライブ、キャリバー9R01。

3つの香箱を直列に配置し、最大巻上時で約192時間、約8日間の駆動を実現している。

公表精度は平均月差±10秒。

時差を直すときに運針を止めず、時針だけを修正できる。

パワーリザーブ表示は文字盤ではなく、裏ぶたから見えるムーブメント側に置かれた。

表側は宝石の景色を崩さない。機能表示は裏側へ回す。

その判断からも、装飾と実用を同時に成立させようとする設計思想が伝わる。

スプリングドライブ キャリバー9R01のムーブメント。「3 BARRELS 8 DAYS」の刻印が見える(グランドセイコー公式画像)
画像:グランドセイコー公式

世界8本。誰が、何のために買うのか

ケースは横44.5mm、縦52.0mm、厚さ14.4mm。

決して控えめな時計ではない。

服に自然になじませるというより、時計そのものを装いの中心に据える一本だ。

付属するKYOTO Leatherの交換用ストラップには、獅子のたてがみを思わせる手加工の箔押しが施される。

京友禅、西陣織の伝統工芸職人と、姫路のタンナーによる素材だという。

世界8本という数を考えれば、比較表だけを見て選ぶ製品ではない。

ブランドの歴史、日本の工芸、石の表情まで含めて、自分が所有する理由を見つけられる人のための時計だ。

資産価値が将来どうなるかは断定できない。

それでも、誰もが持つものではなく、自分の価値観を託せるものを選ぶ。

その行為自体に、ラグジュアリーの意味がある。

付け替え用のKYOTO Leather製ストラップ。赤系の革に箔押しが施されている(グランドセイコー公式画像)
画像:グランドセイコー公式

LUQの見方:これは、身につける日本工芸だ

SBGD228を見ていると、「高級時計はどこまで時計である必要があるのか」という疑問が浮かぶ。

正確に時を刻む。長く動く。時刻を読み取れる。

その基本を守ったうえで、宝飾、金工、皮革、ムーブメントの仕上げを一つにまとめる。

だからLUQは、この一本を単なる3,850万円の腕時計とは見ない。

これは、時間を表示する機能を持った日本工芸だ。

実物を手にできる人は、世界でごくわずか。

それでも、職人がどこまで小さな世界を磨き上げられるのかを知ることはできる。

所有できなくても、価値を考えることはできる。

SBGD228は、腕時計を見る目そのものを少し広げてくれる一本だ。

参考資料(2026年9月26日に確認)

Grand Seiko SBGD228公式製品ページ(グランドセイコー公式サイト)

Grand Seiko マスターピースコレクション(グランドセイコー公式サイト)